多摩川クリーン作戦に初めて参加した。お定まりの 儀式の後、清掃が始まったが「ゴミより人の数が多い」との事前情報に違わずゴミが無い。それでも皆真剣にゴミを探して歩く。「煙草の吸殻は一つではなく、必ず複数まとまって見つかる」との法則発見の報告があったりする。ふと目を上げると川面がきらきら光り、菜の花に蝶々が戯れてクローバーが香る、絵に描いたような日本の春が広がっている。世界には緑の沃野に爆弾が降る土地もあるのだ。一心にゴミを探して歩く野球少年の細いうなじに小説「バッテリー」の一場面が浮かんだりもする。斯様に雑念で集中力も限界の頃終了となった。帰宅してもまだ10時半、長い春の一日だった。 片岡信子(45文)
(会報第48号より転載)