日本の3,000m峰全山に登頂 ー槍ヶ岳~北穂高岳縦走記ー

調布三田会ではまだ「若手」と思っていましたが、昨年 60 歳に到達しました。たまたま「日本の山岳標高一覧」を見たら、標高 3,000m以上の山は 21 座あり、登った山はそのうち 17 でした。残る 4 座は北アルプスに連なる山で一気に踏破できる、よし「還暦記念に3,000m峰全山登頂」と思い定めた次第です。
初めての本格的な山登りは高校 3 年夏の八ヶ岳縦走でした。そこで魅入られて大学では「ハイキングクラブ」に入り、地図や天気図の読み方など山登りの基礎を学びました。初の 3,000m 峰は大学 3 年の夏合宿で行った南アルプスの北岳、間ノ岳、塩見岳でした。軟派っぽい名称ですが、夏山縦走が中心のまじめな同好会です。爾来山歩きを続けています。
ところで、今回目指す縦走路は「大キレット」という急峻な岩稜を通過する日本屈指の難ルートです。山仲間 3 名と、慎重を期して、夜行山小屋 3 泊のゆっくりした日程を組みました。7 月初めには八ヶ岳の赤岳・阿弥陀岳に登り足慣らしもしてきました。
2019年7 月 27 日(金)、台風 12 号が接近する中、「逸れてくれ」と望みを託して上高地行の夜行バスに乗り込みましたが、やはり朝から雨。比較的平坦な道を終日傘をさして槍沢ロッヂに到着。台風は西に逸れてくれましたが、高い山では影響が長引き夜中は大雨。翌朝小降りになるのを待って、雨具に身を包み槍ヶ岳に向けて標高差 1300mを登りました。7 月下旬からお盆前までは最も混む時期で、本来なら槍ヶ岳穂先への最後の登りは渋滞覚悟のところ、台風を懸念した人が多かったのか、なんとびっくり、山頂は我ら 4 人で独り占めでした。残念ながらガスで展望はゼロでしたが…。
ここからは、大喰岳、中岳、南岳と標高 3,000mの贅沢な天空プロムナードコースです。中岳山頂からはようやく天候も回復し、これから行く穂高の峰々、振り返れば槍ヶ岳から歩いてきた縦走路、そして右手には笠ヶ岳から黒部五郎岳、薬師岳へと続く大パノラマ。大感動です。これだから山はやめられない。他に人がいないのをよいことに、「すげぇー!!!」「いいねぇ!!!」「たまんねぇ!!!」と親爺 4 名大騒ぎの段でした。


南岳小屋に泊まり、翌日はこの山行最大のハイライトである「大キレット」通過です。天気も回復、台風のおかげで人も少なくこれ以上はない条件、なんと日ごろの行いの良いことか。山の神様にも感謝です。ヘルメットを装着していざ岩の稜線へ。はしごやら鎖やら、眼下は切り立った崖のふち(落ちたら死にます)、ナイフリッジ(幅の狭い尖った岩)を乗り越えて…。さすがにおっかなかったですね。
ようやくにして山頂直下の北穂高岳小屋に到着し、ビールと昼食で生き返りました。そして最後の 3,000m峰北穂高岳に登頂です。下りも結構大変なもので、標高差 750mを一気に降りて涸沢小屋へ。この日の健闘を祝してビールとワインでまた乾杯。31 日は上高地まで 6 時間。河童橋横のレストランで無事の下山に感謝してまたまた祝杯をあげました。「山でも飲んでいるだけじゃあないか」と某先輩の呟きが聞こえてきそうですが、否定はできません。山のビールは最高です。これだから山はやめられない。

(会報41号6面に掲載。会報には山の素敵な写真と日本の3,000m峰一覧表を載せていますのでご覧ください)